UVオゾン法の接着力改質効果は万能ではなく、素材によって大きな違いがある。
データーはまだ多くないが素材による改質効果の差、即ち改質傾向を表1に示す。
表1のデーターを充実させることがこの技術の普及にとって今後の重要な課題であると考えている。
フッ素樹脂やポリアセタールには効果がないが、多くのエンジニアリングプラスチックに効果がある。
金属のアルミ、ステンレススチールにも効果があり、プラスチックに比べ数は少ないが実用化されている。

表1.UVオゾン法の改質効果傾向一覧表(R3)

素  材

臨界表面張力

(dyne/cm)

改質

効果

備   考

PPS  フォートロン 6165A4(GF)

 

○⇒◎

実績:乗用車エンジン部材

PBT  VALOX 310-SEO-1001

 

△⇒◎

実績:乗用車エンジン部材

ナイロン6.6

 

△⇒◎

 

ナイロン46  TS-200F6

46

△⇒◎

 

PET  FR-PET  C9093

43

△⇒◎

 

LCP  XYDAR 6330(GF)〃

 

○⇒◎

UVオゾン法、光増感法いずれも可

光増感:積層電子基板のフィルム

ポリアミド12

 

△⇒○

△⇒◎

ダイアミド  L-1930

ダイアミド  L-1940

PEEK VICTREX PEEK 450G

 

△⇒○

 

ポリサルホン UDEL P-1700

   〃  GF-130NT(GF)

 

△⇒◎

△⇒◎

 

ポリエーテルイミド 

 

○⇒◎

ULTEM 2300-1000

変性PPO  NORYL SEIJ-701

 

△⇒○

 

ポリイミド

 

FPC

ポリスチレン

33-36

 □

観賞用水槽

フッ素樹脂 

18-21

 ×

 

ポリアセタール

 

×

 

PP(ホモ)

27-29

光増感剤(有機塩素系溶剤)併用

PP(ホモ)  

×

単純UVオゾン法

PP(混合)

 

乗用車デバイスの実績

PE

31-32

×

 

加硫ゴム

 

単車ブレーキシュー部材

エポキシ系樹脂 (GF) 

 

Maglev train coil成形体塗装

アルミ

 

コンデンサー

ステンレス

 

エレベータ構造体の接着

                記号の説明
                @:◎○△
                ◎:非常に強い接着強さ(材質破壊を含む、 85kg/cm2)
                ○:高い接着強さ     (45 〜85kg/cm2
                △:低い接着強さ(20〜60kg/cm2
                接着剤:エポキシ系 
                A:□×、セン特殊光源の実績より
                □:効果と実績あり ×:効果なし

 単純なUVオゾン法では十分な改質が得られない素材も、光増感剤を併用すると改質が高まることが知られている。
例えばポリプロピレンはUVとオゾンだけではほとんど効果がないが、有機塩素系溶剤をPPに含浸させ、その上からUV照射すると著しく接着力が向上する。

 しかしこの技術は有機塩素系溶剤の使用が禁止されたため、図1のマッドガード塗装前処理を唯一の例で終わり、日の目を見なかった。

 最近は有機塩素系溶剤に代わる色々な光増感剤が研究されている。
その中に、光増感剤の存在下で254nmを中心とするUVを液晶ポリマーに照射して、重合性ビニルモノマーをグラフト重合させ、フレキシブル多層プリント回路基板の優れた液晶ポリマーフィルムを開発した例がある。

 その公開特許にはLCPフィルムにヒドラジン水溶液を塗布して、その上から200Wの低圧水銀ランプを120秒照射したUV増感法の実施例と、窒素アンモニアガス雰囲気におけるプラズマ処理、並びに従来のUVオゾン法と酸素、雰囲気、プラズマ処理のそれぞれの改質結果を詳細に比較して述べている。

 その結果の部分だけを抜粋して表2に示す。
ここで従来のUVオゾン法に対して、光増感剤を併用するUV表面処理法を仮にUV増感法と称して区別する。

表2.LCPフィルムのUV増感法による改質効果の比較

処理法

窒素

比率

(%)

窒素

原子

の形態

銅箔

接着

強度

(N/cm)

無電解

めっき接

着強度

(N/cm)

スパッタ

リング銅

接着強度

(N/cm)

封止樹脂接着強度

(MPa)

実施例1

3

N-C

8.04

6.96

6.57

18.2

実施例2

4

N-C

7.94

6.86

6.66

17.9

比較例1

 

N-C

7.35

1.37

1.13

10.1

比較例2

1

N-C

7.45

1.76

1.47

6.8

未処理

0

2.06

測定不能

測定不能

測定不能

フィルム処理法の概要

実施例1:UV増感法(ヒドラジン溶液+UV照射)
実施例2:アンモニアガス+プラズマ法
比較例1:UVオゾン法
比較例2:酸素雰囲気+プラズマ法

接着力向上効果は接着形態によっても結果が変わる。

UV増感法とUVオゾン法の結果は、銅箔接着の場合はUV増感法はUVオゾン法より少し優れている程度で大きな差はなかった。
それにたいし無電解めっきとスパッタリング銅接着の場合は5倍以上、封止樹脂接着強度は約1.8倍の差があった。

一方UV処理とプラズマ処理の結果は、一般に考えられているより差がなく同等であった。フィルムの搬送法は枚葉式(図5)やローラー搬送(図6)など色々のタイプが開発されている。

図5.光増感型枚葉式基板フィルム処理機手前でフィルム装填、奥で照射する

図6.ロールtoロール搬送式フィルム表面改質機。右上が光源

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